日本で最初に地域外の方たちと棚田を保全する活動が始まってから、約30年が経ちました。この間、棚田保全活動は全国のいたるところで実施されてきました。しかし、棚田のある中山間地域での耕作放棄地の増加は止まりません。2019年、棚田を中心とした地域活性化を目指すために「棚田地域振興法」が制定しました。棚田は、公式に「農業の場所」から「地域の中心地」としての役目を与えられたのです。
今後、棚田保全活動はどこに進んでいくのか?そんな時代の節目に、新たに参入したのが、紀美野町「中田の棚田」です。「中田の棚田」は、2020年3月に「つなぐ棚田遺産」にも認定されました。
今回募集する仕事は、活動広報、ボランティアの獲得と定着、ボランティアも参加する活動日の実施の準備などを中心に、より深く活動に関わってくれる方を1人でも多く獲得することを目的としています。「中田の棚田」で取り組んでいる「棚田の再生」「自然栽培による稲作・畑作」「そもそも棚田を保全すること」にどうやって興味を持ってもらい、この活動に参加してもらえるようになるのかは、活動当初から取り組んできました。
また、着任から1年程度は、「再生活動はどんなことをしているのか」「米を作るとはどういうことなのか」を知っていただく必要がありますので、農作業にも参加してもらいます。つまり、こうした活動のなかで自然栽培の米作り技術や中山間地域での農業に関する技術を身に着けることもできます。
卒隊後には、棚田や地域資源に関する地域課題解決型ビジネスや、観光ビジネスなどに活かせる経験ができるかと思います。また、家庭菜園や、米作りをしながら他の仕事を組み合わせるなどのライフプランを考えている方にも最適です。
実は、活動している人の大半は棚田地域の人では無い。
紀美野町は、和歌山県の北部にある約8,000人の町です。県屈指の人口減少トップランナーでありながら、実は地域づくりに熱心な町。地域単位で様々な活動を実践してきた経験をベースに、現在では町内全域を対象に、様々なアイデアを生み出すコミュニティが生まれています。また、カフェやゲストハウスなどの起業も盛ん。週末には県外からも多くの観光客が訪れる注目の町です。
しかし、「中田の棚田」は、町民もまったく注目してなかった隠れた存在でした。紀美野町は山がちな町。棚田はどこにでもあるからです。
そして2020年。「この棚田を次世代につなぐためには?」と立ち上がったのが、「小川地域棚田振興協議会」です。棚田を介して、様々な人や機会が交じり合い、新しい何かが生まれること、そうして棚田が引き継がれていくことを目指しています。地域おこし協力隊2名も加わり、本格的に再生の道を歩みはじめました。
協議会には、実のところ、協議会会員でさえ棚田地域の住民よりも地域外から参加しているメンバーが多いのです。紀美野町のまちづくりをけん引するリーダーたち、農家民泊オーナー、アウトドアリーダー、移住者、飲食店経営者、元旅行業勤務、自然栽培農家などなど…。様々な人たちが棚田に注目し、参画しています。また、登録制ボランティア「棚田サポーターズ(棚サポ)」などを含めて、「中田の棚田再生プロジェクト」は様々な人たちが交じり合うコミュニティになっています。
果てしない草刈り、草刈り、草刈り。
そして、無農薬無施肥のお米 誕生。
棚田の農地面積は約9ha。その約3/4(約7ha)が耕作放棄地といってもいいくらいでした。我が物顔の笹、背が高くがっしりとした雑草との格闘…。協議会が組織される前の2018年から、地道に作業を開始し、現在は定期的な草刈りで管理できるまでに回復しました。
棚田を再生・維持するためには、この草刈りが何より重要です。こればかりは、会員だけでなく、棚サポさんや援農ボランティアさん達のガッツとパワーあってこそ。草刈り機の扱いをいちから練習し、今や第一線で活躍する方もいらっしゃいます。最初の3~4年は、棚田をもう一度米や野菜を育てる場所に整えていくことにまい進しました。
そして、2022年度から本格的な米作りを開始しました。約4,000㎡の田んぼで約900kgの米を収穫しました。ようやく、米作りのフェーズに到達した瞬間でした。中田の棚田では、米・野菜すべて無農薬無施肥で育てています。品種は「あさひ」、そして和歌山県民が大好きな餅用に「神楽餅(かぐらもち)」を育てています。2023年度のお米は、棚田サポーターズさんやボランティアに参加してくれた方に優先的にお分けし、協議会会員も友人などに口コミで広げました。また、イベントとして、棚田deCAMPや「わら」を使ったイベント、「紀美野町自然環境ネットワーク」が主催する棚田での生き物観察会を実施しています。農業には直接関係の無いような取り組みも、活動の認知を高めるためには必要だと考えています。
地域づくりも農業も
地域の中と外をコーディネート
新たなフェーズに移行したこの「中田の棚田」を次世代に繋げていくためにも、活動を支えてくれるボランティアさん達を含め「活動に参加したいと思ってもらい、」「そうした場を作ること」が重要だと考えています。そのためにも、今回募集する協力隊員には、棚田全体を見渡して活動内容や人を調整したり、広報活動をしたりなど、コーディネートできる方が必要だと考えています。
(主な仕事は、【業務概要】をご確認ください。)
しかし、興味はあるけれどこうした経験が無い方は多いと思います。そのため、まずは、自身にも棚田での農作業に参加してもらい、「再生活動はどんなことをしているのか」「米を作るとはどういうことなのか」を知っていただく時間が必要です。また、協議会会員ら主催者側や各種ボランティアらと日々のコミュニケーションを取り、状況を把握していただきます。また、町内各所の飲食店、宿泊施設や教育機関などとも連携するような機会もありますので、協力隊期間に棚田再生活動に従事しながら、技術と経験と人脈を得ることが可能です。もちろん、自分自身で全国の取組事例や地域づくりとは何か?などを勉強することも大事です。
仕事の内容の詳細は、プロジェクトの一員として活動している元協力隊OBから引継ぎを受けることが出来ますので、そこは安心してください。
地域づくりを学びながら
模索できる3年間に
棚田再生プロジェクトは、R5年度~R7年度までの3年間の活動計画(棚田の水田化・人材確保)をもとに進めていきます。その以降の方針はこれから話し合っていく予定ですが、空き家の活用、棚田に関連する飲食店、六次産業、米の販売…などの展開を考えています。そのため、二次的な取り組みを進めるためにも、中心となる棚田を再生してベースを整えています。次のフェーズはまだ決まっていませんが、興味がある分野があれば参加することが可能です。反対に、みなさんからのアプローチも待っています。
また、紀美野町には、現役協力隊員が6名います。それぞれ違う仕事をしていますが、町の中でコミュニティを築くことができます。さらに、先輩移住者も多数います。先輩の経験談や、ネットワークを活用し、自分の実現したいことも模索できる機会になるはずです。
棚田での活動の様子を知りたい方は、以下の方法で参加できます!ぜひ、応募に合わせて、棚田メンバーに会いに来てください!
〇中田の棚田再生プロジェクトHP
(ページ下部のGoogleカレンダーから希望日を選択すると、申し込みフォームが表示されます。)
◎問い合わせ先◎
紀美野町役場 まちづくり課
〒640-1243
和歌山県海草郡紀美野町神野市場226-1
📞: 073-495-3462
🌏:https://www.town.kimino.wakayama.jp/event/bosyuu/3937.html
【JOIN】https://www.iju-join.jp/cgi-bin/recruit.php/9/detail/62198
【参考URL】田中の棚田再生プロジェクトHP:http://kiminoriceterrace.com/
〇応募条件や申込方法、審査方法については上記URLよりご確認ください。